日本の仏教には多くの宗派がありますが、主要な宗派は以下のように大別されます。それぞれの宗派には、教義・修行法・本尊(中心とする仏)・開祖・特徴などに違いがあります。
✅ 主な日本の仏教宗派とその違い
1. 天台宗(てんだいしゅう)
- 開祖:最澄(さいちょう)
- 本尊:阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来など
- 特徴:
- 法華経を重視
- 中国の天台大師・智顗(ちぎ)の教えを元にする
- 戒律・禅・密教・念仏などを統合する「円融思想」
- 比叡山延暦寺が総本山
2. 真言宗(しんごんしゅう)
- 開祖:空海(くうかい/弘法大師)
- 本尊:大日如来
- 特徴:
- 密教(秘密の教え)を実践
- 真言(マントラ)や印(手の形)・曼荼羅などを用いる
- 現世利益(この世での幸福や成功)を重視
- 高野山金剛峯寺が中心
3. 浄土宗(じょうどしゅう)
- 開祖:法然(ほうねん)
- 本尊:阿弥陀如来
- 特徴:
- 念仏(「南無阿弥陀仏」)を称えることで極楽往生を目指す
- 修行や学問よりも信心を重視
- 知識や地位に関係なく、誰でも救われると説く
4. 浄土真宗(じょうどしんしゅう)
- 開祖:親鸞(しんらん)
- 本尊:阿弥陀如来
- 特徴:
- 念仏は「感謝の表現」であり、修行ではない
- 「他力本願」を徹底:人間の努力ではなく、阿弥陀仏の力によって救われる
- 僧侶も結婚・肉食する(戒律に厳しくない)
- 多くの宗派がある(例:本願寺派=西、真宗大谷派=東)
5. 日蓮宗(にちれんしゅう)
- 開祖:日蓮(にちれん)
- 本尊:釈迦如来と法華経(特に「南無妙法蓮華経」)
- 特徴:
- 法華経が唯一絶対の教えとする
- 題目「南無妙法蓮華経」を唱える
- 国家や社会のあり方についても積極的に発言
- 宗派によっては非常に活動的(例:創価学会系の法華系団体)
6. 禅宗(ぜんしゅう)
◉ 曹洞宗(そうとうしゅう)
- 開祖:道元(どうげん)
- 本尊:釈迦如来
- 特徴:
- 只管打坐(ひたすら座禅する)
- 宗教的体験よりも日常生活を重視
- 永平寺(福井県)が有名
◉ 臨済宗(りんざいしゅう)
- 開祖:栄西(ようさい)
- 本尊:釈迦如来
- 特徴:
- 公案(禅問答)を使って悟りを得る
- 武士階級に支持された
- 京都の建仁寺などが本山
◉ 黄檗宗(おうばくしゅう)
- 開祖:隠元(いんげん、中国出身)
- 特徴:
- 中国・明代の禅を受け継ぐ
- 梵唄(ぼんばい)や儀礼が中国風
🧘♂️ まとめ:宗派ごとの大まかな違い
宗派 | 主な教義 | 修行法 | 本尊 |
天台宗 | 法華経・総合的仏教 | 禅・念仏・密教など | 多様(阿弥陀・釈迦など) |
真言宗 | 密教(秘密の教え) | 真言・儀式 | 大日如来 |
浄土宗 | 念仏で極楽往生 | 念仏(称名) | 阿弥陀如来 |
浄土真宗 | 他力本願・信仰重視 | 念仏(感謝) | 阿弥陀如来 |
日蓮宗 | 法華経中心 | 題目(南無妙法蓮華経) | 法華経・釈迦如来 |
禅宗(曹洞/臨済) | 悟り(坐禅) | 坐禅・公案 | 釈迦如来 |